宮乃

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zoom RSS 頑張れ産婦人科!妊婦たらい回し死産:なぜかかりつけ医がいなかったのか? その2

<<   作成日時 : 2007/09/11 22:42   >>

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妊婦たらい回し死産:なぜかかりつけ医がいなかったのか?に85件ものコメントを頂き、ありがとうございます。
コメントしきれないので新たにお礼をかねてしたためております。

単なる中流家庭で母親をやっている、ごくフツー(というのは友人全員私と同じ意見で、まぁマスコミってあんなもんだから、という感じで誰も相手にしてませんでしたのでフツーとさせていただきます)の意見に対し、こんなに反響があることにとても驚きました。

このことは、マスコミの思考と世間の思考とズレを現しているのかも知れません。
そのことをよく踏まえて、記事を読み、日ごろの仕事に生かせば、徐々に日本も変わってくると思います。これだけきちんと物事を捉え、考えられる人がいるのですから大丈夫そうですね。

マスコミは、多数の意見のように書きますが、少なくとも一般的な中流(が減ってきているそうですが)サラリーマン家庭の我が家の人脈では、
「あの週数までかかり付け医が居ない事が異常だ」
という意見が全部でした。

「マスコミって流産と死産の違いも分かってないみたいだし、記事がずさんすぎるよね」
という意見も出ました。まぁ、私の友人たちは類は友を呼ぶで話半分以下で読んでいる人が多いようです。

そんなところから考えたのが「実は少数意見がマスコミなのかも?」という見方も持っておくといいなという事でした。本当はどの辺りが現実に一番近いのだろうか?という所を見る事が出来る可能性が高くなるのではないかと思います。

さて、沢山コメントを頂きましたので、内容をカテゴリ別に分けてコメントしました。


・妊婦に非があっても、たらい回しにされていいはずがない。
同感です。ですが、記事を読んだ瞬間「健保等に未加入で、分娩費踏み倒しの確信犯」だと思った人は何人かいましたので、やはりなぜ「かかりつけ医」がいなかったのか?という所に触れずに、全てが救急体制が悪いという言い方には、無理があると思います。
妊婦の事情に配慮したという意見もありますが、事情に配慮すること=事実を隠蔽する、事は違います。妊婦を傷つけないように原因を読み手に知らせる(間接表現でも良いし)ことは出来ますし、第一、文章のプロなのだから、やるべきでしょう。


・救急体制だけの問題ではない
妊婦にも問題があった、あの週数までかかりつけ医がいない事が異常であるという意見が大半でした。


・高次医療と連携する知識を啓蒙する必要がある
大学病院が安心だからと、毎日重篤な症状でないのに老人がたむろして、待ち時間が異常に長くなる等の問題が一時騒がれた時にも言われましたが、基本的には地域のお医者さん(ホームドクター)に診てもらい、その医者に手が負えなくなったとき紹介状で大病院に来るようにしないと、大学病院ばかりがパンクした状態になる、という事が書かれた時期がありました。

今回も同様で、医師のリソースは不足しているし、増えたとしても万能になる事はまずなくて、限られたリソースをどのように使えば、最大限に発揮できるかという事を患者側も考えるべきです。(しつこいですが、私の周囲の人間は、無事に子供を産みたかったら主治医は早い時期から確保するよね、という意見しかありませんでしたが)

主治医を決めて高次医療と連携するシステムを理解してもらう啓蒙活動は、通年で行う必要があるかも知れません。
(でも、、、普通は考える事ですけどね)


・権利を主張するなら義務を果たせ
色々事情はあったのだろうけど・・・と気遣ってのコメント、いくつか頂きました。
今の日本では、かかりつけ医がいれば万一の時に見捨てられる確率が、限りなく低くなるのは分かっている事だし、患者として自分の身を守るために必要なことをやっていない妊婦だった。週数すらはっきりしない、HIV、B,C型肝炎等の基本的な検査もしていないと予測されるような妊婦の受け入れ先が見つかりにくいのは、良く考えればとくに異常な事ではない。そういうことを追求せず、救急体制「だけ」のせいにする書き方はおかしい。
(もちろん、救急体制も連携をとるべきと思います。踏み倒し患者への対応も構築しつつ)

あと、この「権利を主張するなら義務を果たせ」の中には、国保・健保に未加入だったという未確認情報があるので、一応個人的意見を書いておきますが
「健保は、本人や家族が、病気やケガをしたとき、また出産や葬祭があった場合など、不時の出費がかさんで生活が苦しくなることを防ぐため、日頃から被保険者と事業主が一定の保険料を出し合い、いざというときに医療費や出産・葬祭の費用を給付し、毎日安心して働く事が出来るようにする事を目的としている」

「国保は、加入者(被保険者)がお金(保険料[税])を出し合い、病気やケガをしたときの医療費や加入者の健康づくりのために、みんなで助け合おうとする制度」
であるので、払ってない人には受ける権利がないといって良いと思います(健保では未払いはありえませんね)。
ただ、事情があってなかなか加入できない人への救済措置はあるべきですが、ある程度はあったはずなので、日本できちんとした医療を受けたければ、きちんと加入して税金を払うのが義務となります(言うまでもなく当たり前の事ですが)。

踏み倒す人が増えると、日本は「金がないなら死ね」っていう社会になってしまいます。でも踏み倒す人が一番そういうことを考えていないんだろうな。でも、踏み倒さないで下さい。お金がないなら子供を作らないで下さい。一番の初歩の問題である「お金の準備」が出来ない程度の親では、しょせんまともには育てられません。子供を思うならやめて下さい。


・かかりつけ医がいない原因はお金がないからでは?
妊婦の立場に立った意見も複数ありました。一方で、どんな事情があったにしろ、検診費など妊娠出産に必要な費用も準備できない状態で妊娠したり、子供を産むのは無責任ではないか?という意見も沢山ありました。
私もそう思います。もし、仮にですよ、無事にうめたとして、お金がないから給食費が払えないと踏み倒すんでしょうか。実際そういう人もいますが、要するに親になる資格はクリアしてないと思います。赤ちゃんがなくなった事できちんと考えてくれると良いのですが。
親になるなら、お金がなかろうがすべきことはきちんとする、それが出来ないのなら、子供にどうせしつけも出来ないだろうから、産む資格がないと思います。いずれにせよまともに育てられる環境ではない。厳しいですが、子供は環境を選べないので、一番犠牲になるのは子供だから、厳しいくらいが丁度いいと思います。


・なぜかかりつけ医をもてなかったか追求して欲しい
マスコミに対してのお願いで、ご意見頂きました。
個人的には、必要に応じて追求したらいいと思いますが、追求する前に、救急体制「だけ」が不備、というのを、改めていただきたいと思います。


さいごに


産婦人科医のみなさまへ。
ドクターだという方の書き込みも複数あって、うんざりしたり、悩んだり、憂えたりしながら頑張っておられる姿が目に浮かびました。

私の知人に産婦人科医や助産師がいますが、彼らはみな、NICUなどを経て、やはり色々な問題を抱えた妊婦さんや、赤ちゃんを手助けしてあげたい、ケアしてあげたい、という強い思いがあってやっています。たまたま私の知人たちは、どんなに大変でもこの仕事はやめない、と言っています。それだけ、世の中に必要な仕事だから、誰が認めてくれなくても必要な事は自身が一番分かっていると。子供がいながら頑張っている人もいます。
(というよりは、何よりも赤ちゃんが大好きなんだと思います)

その気持ちを思い出して、誰のために何をしてあげたかったのか思い出して欲しい。
そしてマスコミの意見は(非常にニッチな意見で、世間の常識とはずいぶんズレていると思うので)少し離れた距離から見て、自分のすべき事を考え、貫いて欲しい。
そういう生き方をしないと、多分死ぬときに後悔します。
本当は、あぁしたかったのに、と思って死ぬなんてサイアクです。

患者の立場から言いますと、信念をもって病院をやっている人の気持ちは、四面楚歌の時でも伝わります。私が3人産んだ病院も、過去何度も新聞に悪い記事でも良い記事でも乗りましたが、院長から直接伝わってくるのは、大切な子供、どうか大切に育てて欲しい、という気持ちでした。結局、何度新聞沙汰になっても患者は減らなかったし、ただ悪いことは悪いと思う、という事を直接院長に伝えている人もいましたし、いい意味でオープンになる。
人を集めるのは信念だと思います。そして良質の患者を集めるのは院長の心の在り方だと思います。
私が入院するときに重視するのは、末端の人(お掃除のおばさんとか)が楽しそうに働いているかです。楽しそうな病院が一番安全です。なぜなら楽しそうという事は、前向きだからです。
末端の人までが前向きならば、人手が万一ない時にでも、各自が頭を使ってある程度フォローしあえます。人間として行動できるということです。つまり相手の立場で心のある人間として対応してもらえる確率が上がるからです。さらに楽しさというのはマニュアルでは徹底できません。

赤ちゃんという存在は、見ているだけでどんなに生命力が強く、素晴らしい存在であるかは、感じたことのある人なら言うまでもなく分かると思います。

どうか、この赤ちゃんという素晴らしい存在を、守るための医療を見捨てないで、少数のおかしな人に流されず、信念を貫いて下さい。仕事ってそういう信念があるからこそ輝くものだと思います。信念がなく流されてしまうのなら、辞めるべき人なのかも知れませんが・・・

といいつつ。。。最悪の運だった場合、私は命を諦めるしかないんだろうなと思いながら、毎回産んでいます。だからこそ、夜間などの人手の少ない時間に状態が悪化しないよう、妊娠中の体調管理には気をつけるのです。


周産期救急シミュレーション―こんなときどうしよう?
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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
 麻酔科医です。
 宮乃さんの最初のコメントを読んで、日本もまだまだ大丈夫かもと勇気づけられました。

 産科の先生には頭がいつも下がります。多分働き始めてから10年20年の単位で、3時間以上のまとまった睡眠なんてほとんど取ってないんだろうなぁ、って人がざらにいます。

 三人のお子さんをお育てになっていらっしゃる方なら、このまとまった睡眠がとれない事のつらさが分かっていただけるかと思います。

 
みりあむ
2007/09/13 16:06
 もうすでに多数の方からのコメントにあったと思うのですが、注目していただきたいのは、「断ったどの産科も働いていた」という事実です。
 お産は昼夜を問わず、とはいえ、夜中の2時3時に域内の産科全てが、スクランブル状態だったのです。
 引き受けたくなくて断ったのではなく、引き受けられなくて断ったのです。

 私も麻酔科ですから、分かるのですが、緊急手術のような飛び込みは、患者さんのリスク把握ができなくて、こちらのストレスは倍増です。実際、アメリカの調査では、仮に同じ手術でも緊急というだけで、死亡のリスクがあがるとされています。

みりあむ
2007/09/13 16:07
 すでに予定の手術があるところに平行して、この緊急患者がやってくると、すでに手術中の人にもリスクが押し寄せることになります。予定手術に準備していた人材、物品、注意力など、物心の両面で限りある資源を、分割するわけです。

 こうなってくると、既にお産で手一杯のところに、見たことも聞いたことも無い、妊婦が新たにやってくることは、他の患者さんを危険にさらすことになります。最悪、「誰の事も救えない」事態もありえます。

 せめて、今まで自分のところに受診し、きちんと妊娠の継続につとめ、胎児を守ってきたお母さんの子供だけでも助けたい、というのが正直な心情だと思います。

みりあむ
2007/09/13 16:08
 私たち医師は、かつての日本陸軍の前線兵士に、自分の身をたとえることが多くなっています。
 病気という敵と戦い、自分の全て(この場合は睡眠・食事・私生活)を犠牲にして戦ってきました。それが後方の人々を守ると信じてきたからです。
 ですが国家予算の削減で、矢も玉も供給が減っています。病院が国から支給されるお金は減り、現地調達しろといいます(この場合は患者さんから直接お金をとりたてる事です。保険者負担が増えましたよね)
 補給の兵士も物資も、前線に届きません。

みりあむ 
2007/09/13 16:09
 大本営の発表では、我々の働きは不十分で、だから死ぬ人が出るのだと言い、皆そのように信じているかのようです。(神風を信じたように、現代の医療が全てを治し、事故もケガも病気も全て傷一つ無く元の状態にもどせると、信じている人々がいます)
 
 国民の支持が得られない戦争に従事する兵士の士気については、議論するまでもありません。
 私は、もはや負け戦だと思っています。降伏して捕虜になるように、前線を去る医師が続出しています。私もそうです。「戦闘で死ぬか降伏するか」の選択を迫られました。

 家族に生きていて欲しい、と言われたので、前線を去りました。
みりあむ
2007/09/13 16:09
 最後に高給取りと言われる医師ですが、どうでしょうか。
 生涯収入では、ベスト10にも入りません。
 ちなみにこれは、結婚相談所のホームページによります。(安くは無いですが、ぶっちぎりではありません)
 私で時給2000−2500円くらい。
 産科の先生は、時給1000円切るんじゃないでしょうか。
みりあむ
2007/09/13 16:11
みりあむさん、睡眠不足はつらいですね〜、私はもう4時間ほど眠れますが・・・5分でも深く眠るので体は持ちますが、仕事で叩き起こされるのと、かわいい赤ちゃん(&子供たち)に起こされるのとはぜんぜん違います。「大本営の発表では、我々の働きは不十分で、だから死ぬ人が出るのだと言い、皆そのように信じているかのようです」のところ、すごく共感しました。少なくとも現状を見れば、休日夜間で緊急の場合で、知り合いの医師等がいない場合、自分の命が助かる確率は下がるだろう事、無事を望むならそういう時間に具合悪くならないように気をつける事は容易に予測できます。年を取ってくるとそうもいかないので、やはり医療崩壊は、国が何とかする仕事だと思います。医師のせい「だけ」にするのは偏っています。国のせいだけにするのもおかしい。また使う側の啓蒙も必要かと思います。でも上手にやっている産院もあるので、マスコミの扇動にあおられる事無く、上手に利益を出していって赤ちゃんも沢山とりあげて欲しいなぁと思います(^^)。
宮乃
2007/09/14 03:43

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